シャドウ
シャドウ1
これは、この地に眠る我らの記憶の残像である。
シャドウ2
変わることも消えることもなく、我らの記憶は永遠に残る。
これは、この地に眠る我らの記憶の残像である。
変わることも消えることもなく、我らの記憶は永遠に残る。
これは、我らが歴史の記録。これに触れし者よ、我らの消失の謎、けして触れるなかれ。
かつて我らは、苛酷な時を強固なる精神をもって耐え抜いた。
はるか古きアレンビックの平穏は、異星の刃によって砕かれた。
我らはこの英知を軍事に注いだ。早々に、我らは敵を超える刃と盾を手中にした。
我々は平和を求めたが、侵略者には刃をもって応えた。
しかし鋭い刃を手にしてもなお、星は我らに苛酷でありつづけた。
やがて我らアレンビックの身体は、 この星の環境から身を守り、そして適応するように進化した。
感覚は鋭く、鋭く研ぎ澄まされた。呼応するように、我らの精神も進化した。
我らを脅かす力は消えた。アレンビックは新たなる平穏の中で、哲学の探求を始めた。
我らの精神は、さらなる向上を見た。 そうして我らは、念動の力と、異なる次元に踏み込む術を得た。
しかし我らは怠ることなく、刃の鋭さを増していった。
果てしなく鋭き我らが刃。最早敗北は無い、そう考えた。
その誇りが、我らを惑わせた。この危機が、よもやこれほどのものとは!
かの破壊者はまさしく疫病のごとく我らアレンビックの民と兵をなぎ払った。
襲われた者は、魂を失い虚ろとなった。
我らは、備えを怠ったのだ。最強をうたった我らに、かのような脅威が現れようとは!
最初に見た者はただの彗星と思った。しかし彗星は惑星に落ち、瘴気を生じた。
彗星より生じたそれは、我らの身体を喰らい、我らの姿を模倣した。
やがてそれは、気体から固体へと姿を変えた。
それは変幻自在に、様々な力で我らを殺した。
我らの守りも、その力の前には無力であり、視界にあるものは全て抹殺された。
アレンビックの強者でさえも、一度の攻撃に耐えることすらかなわなかった。
新たなる武器を戦士に持たせた。しかしその武器も、全て我々を殺すものとなった。
かの者の力は、我らの理解を超えて邪悪であった。
やがてその者は、「恐怖」、「破壊者」、すなわちゴリアと呼ばれることとなる。
破壊者は前触れなく、空より降った。生まれは定かではない。
破壊者との戦いは三月続いた。最高の武器も効かず、我らは枯草のごとくなぎ倒された。
破壊者は我らの武器すら気に留めることなく、 しかし我らは彼奴の攻撃を防ぐ術を持たなかった。
破壊者は、我らが生命の波動を吸収し強くなる。死の数は絶望的であった。
この邪悪なる存在、やがて宇宙全てをも飲みこむだろう。
その姿、まさしく疫病のごとし。あれを止めなくば、宇宙は死に絶えよう。
破壊者が、すべての宇宙に恐怖と破壊をもたらすことは明らかである。
長老院は集い、破壊者を倒さんと様々な策を弄した。 敗北と絶望の果てに、最後をシールスフィアに託した。
我々は「精神転化」によって、魂のみの存在、純粋な精神エネルギーへと昇華した。
そして封印は成功した。その代価は、あまりにも大きかった。 我らはただ、銀河の平穏を祈ろう。
我らは封印のために、肉体と生命をも投げ出した。 倒せぬ限りは、破壊者を解放してはならない。
我らの犠牲を尊ぶならば、彼奴を探す事はまかりならぬ。さもなくば、絶望のみが待つ。
破壊者に通ずる武器はなかった。
そして我らはある計画を開始した。 破壊者を倒すのではなく、異次元の牢獄に封印するのだ。
破壊者を罠にかけ、網のごとく開いたシールスフィアで捕らえた。急がねばならない。
破壊者をオブリエットへと移送した。しかし、オブリエットでも充分ではないだろう。 我らはさらなる手段を用意した。
我らはアリノスに凶砲を建造し、異次元の虚空への道を開いた。 オブリエットは虚空に落とされ、そして道は閉ざされた。再び、開かれぬように。
破壊者に対する最後の手段として、我らは永遠の牢獄「シールスフィア」を建造した。
シールスフィアの力の源は、囚われし者自身が放つ精神の波動。 それが消えぬ限り脱出はありえぬ。
アレンビック全ての魂が結集し、シールスフィアは、さらに強固な牢獄となった。
シールスフィアに囚われ、破壊者も動けまい。だがこれも、数ある封印の一つ。
我らは破壊者を封じたるシールスフィアを、牢獄の牢獄、出口無きオブリエットに閉じた。
我らは、出口無き牢獄を建造した。 そして、その内に破壊者を封じたシールスフィアを安置した。
我らが凶砲はこの宇宙と、虚空との間に裂け目を作った。
そして破壊者を封ずるため、オブリエットを虚空へ弾き出した。
虚空に落としたオブリエットは、もはや見つかる事もないであろう。
今や虚空に在るは破壊者のみ。干渉してはならない。
牢獄が虚空に在る限り脱出は成らず、そして過ちの解放もありえないであろう。
そして虚空を開く凶砲は、力の源たるオクトリスを失い、静かに眠る。
反物質を超光速で撃ち出す凶砲。これにより我らは、異次元への道を開くことを得た。
八のオクトリスを凶砲に用い、我らは虚空への道を開いた。
虚空とは、形なき反物質でみちた異次元のひとつ。
そして凶砲も今は眠る。 力の源たるオクトリスが戻らぬ限り、よみがえることはないであろう。
封印されたる危機を甘く見るなかれ。 破壊者たるゴリアを封印するために我らは種の全てを犠牲にしたのだ。 倒す手段無くば、解放してはならぬ。
ここは、戦士達の訓練所。数多くの英雄を輩出した、由緒ありし場所である。
将たるアルミーアク、眠る。 星系境界会戦で我らを勝利に導き、長老院にその名を連ねた。
大いなるアークテルス、眠る。 医学の発展により、長きアレンビックの時代を築き上げた医学者である。
アレンビックの戦士、ここに眠る。彼らの魂、願わくばこの星に、安らかに還らんことを。
ガーディアンを警戒せよ。至るところに現れる、我らが宝物の守護者である。
ここは、アレンビックの神聖なる宝物を守る空間にして、我らの作りし守護者が眠る。 その扉開くは、我らのアーティファクトのみ。
守護者は我らの神聖なる宝物を守るのみではない。攻め入るものを全て討ち取る者だ。
踏み入る者、求める者よ。相応の代償を頂かねばなるまい。
聖なる六つの光、その理に従いし順に輝く時、古のアレンビックの力あらわる。
初めに、闇夜を切り裂く「黄色き雷」の光。
その怒りは、「緑色の森」を撃つ。
やがて光は、「紅の獄炎」に満ちる。
炎は消え行き、「青き銀糸」を生じる。
銀糸は集い、「紫の結晶」を編み上げる。
結晶は砕け散り、「赤き光点」を遺(のこ)す。
最後に残りし赤き光点の消え行く時、封印されたアレンビックの力よみがえるなり。
アレンビックの長老院は、八人の長老からなる。
オクトリスには、アレンビックの長老どもの魂が眠る。
そして八のオクトリスは、守護者が護る四領域に眠る。
一領域に眠るオクトリスは、二つまでだ。
虚空への道を開く者よ、八のオクトリスを手に、眠れる凶砲の元へと向かうのだ。